緑の惑星での物語

相棒ののりすけちゃんが思い出した物語です。
マルデック
(↑クリックしてね)
昔々、太陽系に存在していたと言われるマルデックとおぼしき惑星
でのお話です。
さまざまな種族が移民として入植していたそうです。
そして、いろんなコミュニティが存在していたようです。
そんなコミュニティの1つに天使族の「おかあさん」はいました。
「おかあさん」はコミュニティの中心にある人たちのうちの1人で、みんなで孤児や捨てられた卵を育てていました。
このコミュニティは、とても平和でしたが、「戦いの準備」はいつもしていました。
武術の訓練を常にしていたのです。
「おかあさん」に育てられていた子の中に、「キラ」がいました。
キラは、「おかあさん」とは別の種族でした。
チビなキラでしたが、いつも「おかあさん」にお稽古をつけてもらっていました。
大きな棒や武器を振り回して、頑張っていました。
「おかあさん」はたくさんの子供たちを育てていましたが、自分自身の子供にはなかなか恵まれませんでした。
しかし、ようやく「おかあさん」のところに赤ちゃんがやってきました。
みんなみんな赤ちゃんがやってきたを喜びました。
生まれる前から、お花を散らしたり踊ったりして、みんなが喜びを素直に表していました。
赤ちゃんの「ファウ」が生まれて、みんなとても幸せでしたが、コミュニティの外では、陰りがどんどん濃くなっていきました。
とうとうコミュニティの大人たちは、戦うことを決意しましたが、その戦いはとても悲惨なものとなっていきました。
大人たちは、ファウを惑星の外に逃がすことにしました。
なぜなら、「敵対するものたち」にとってファウは格好の標的だったからです。
「おかあさん」は、ファウのお腹の中に、金色の透明な栓を埋め込み、「敵対する者たち」からファウが追跡されにくいようにしました。
他の大人たちも、一生懸命知恵を出し、困難な状況の中にあっても、ファウのためにさまざまな細工を凝らしました。
遠い未来、ファウの生まれ変わりに対して、副作用への癒しが施されるようにとの配慮もしっかりと施しました。
みんなにとって、ファウは希望の光だったのでした。
絶対に、「敵対する者たち」から逃がさなければ、とみんなが強く思っていました。
みんなが涙を流しながら、ファウを送り出した後、戦況はますます絶望的になっていきました。
キラもなんとかギリギリまで生き抜いていましたが、ほんとうにもう壊滅的でした。
大人たちは、もうここまでだとあきらめ、少しでも犠牲が少なくなるようにと、大変な仕掛けを作って、できるかぎり多くの仲間たちを逃がすことにしました。
キラもその中にいました。
惑星から脱出する前に、「おかあさん」がキラに言いました。
「キラ…。
私の宝物ちゃんはね、私たちとこんな別れ方をしてね、将来苦しむかもしれない。
いいえ、とても苦しむでしょう。
生きる世界、時代によっては、私や、私たちのことを憎むかもしれない。
『赦し』てくれないかもしれないわ。」
「おかあさん、でもこれしかなかったよ、これがベストな方法だったよ。」
キラは涙を堪えて言いました。
「おかあさん」はにっこり微笑みました。
「キラにお願いがあるの。
私の宝物ちゃんは、これから長い長い旅をするでしょう。
彼女へあなたに伝えてほしいことがあるの。
とても大変なことかもしれない。でもあなたにしかできないと思うの。」
キラは頷きました。
「ファウ。あなたは、私の宝物。心から愛しているから。
あなたが来る事を、ずっとずっと永い時間、待っていたこと。
あなたが来た事を知った日のこと。
あなたがおなかにいたときに、一緒に草原で風の甘いにおいをかいだこと、一緒に寝たこと。
不思議な匂いのする、懐かしい、よく飲んだ薬草茶のこと。
ほっぺたがうんとやわらかいあなた。ぜんぶ、愛してる。愛してる。愛してる。
あなたの世界が、あなたを愛と平和と光で包みますように。
そして、私があなたのことをとてもとても愛していたことを、あなが知ることができますように。」
そうして、キラは涙を流しながら、緑の惑星を後にしました。
残った大人たち、そして「おかあさん」は「敵対する者たち」に捕まり、「液体」の中に入れられました。
大人たちは生命エネルギーを抜き取られ、ギリギリ生きているだけの状態が長く続きました。
「敵対するものたち」は天使たちに「転生」を許さなかったのです。
しかし、もうあの緑の惑星も存在しません。
戦いも、遠い昔に終わってしまいました。
でも、金色の透明な栓は、まだ残っていました。
その栓が、ファウとキラの生まれ変わりに、「おかあさん」の愛を思い出させることになりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です