本日で娘は生後6カ月になりました。
早いなーー。
吉村医院で娘を産んだのが、つい最近のように感じます。
さて。
胎児は知っている母親のこころという本を読みました。
いろんな大学等での研究結果を元に語られていますが、素直な感想としては
「あら。吉村先生の言ってたことやん。」
でした。
赤ちゃんは受胎の時からの記憶を、その細胞に宿しているのではないか、という部分や、妊娠期の母親の精神状態によって、子供の生きやすさ・生きにくさが決まってくる、という部分。
また、バーストラウマの話などは、「もう産んじゃったよー。」ってお母さんにしてみたら『取り返しがつかないやん。』と気落ちしてしまうかもしれませんが、それを知って子育てをしていくのと、そうでないのとではかなり違うんじゃないかなー、と思いました。
この本の中で、とても感激したエピソードを2つ抜粋しておきます。
人間においては、これらのホルモンが子宮のなかにいる時から働いている。双子の超音波研究で有名なイタリアの小児科医であり精神分析学者のアレッサンドラ・ピオンテッリは、すばらしく興味深い発見をしている。ピオンテッリは、双子の胎児の超音波映像を観察しているとき、女の子(アリシア)よりも男の子(ルーク)のほうがずっと活発に動いていることに気がついた。
「ルークはたえず向きを変えたり、蹴ったり、移動したり、子宮壁に足を伸ばしたりしていました」しかし、ルークはときどきそうした動きを止めて、アリシアのほうに注意を向けた。「ルークは手を伸ばし、二人を分ける膜ごしに、アリシアの顔にやさしく触れました。アリシアがルークのほうに顔を向けると、彼はしばらく彼女を、やさしくなでたり、頬ずりをしたりして注意を引いていました」
このときから、ピオンテッリは、この二人を“やさしい双子ちゃん”と呼ぶようになった。二人のふれあいは、たいていルークからの働きかけで始まった。「アリシアは眠ってばかりのようでした。たまに目覚めているときは、頭や手を、ほとんどわからない程度にゆっくりと動かしていました。それでもルークがやさしく刺激をすると、必ず反応を返したのです」とピオンテッリはいう。
二人の誕生後、病院にようすを見にいったピオンテッリは、彼らが生まれる前とまったく変わらないことに気づいた。相変わらずルークは機敏で活発、アリシアは平和で穏やかだったのである。さらにおもしろいことに、二人のやさしい関係は、丸一年たってからも変わらなかった。「満一歳になった二人のお気に入りの遊びは、カーテンの陰に隠れて、それを二人を仕切る膜のように使って遊ぶことでした。ルークがカーテンの向こうから手を伸ばすと、アリシアがその手に頭を押しつけるのです。それから、たがいをなで合っては、のどを鳴らして笑ったり、ほほえんだりしていました」
子どもを人間の尊い可能性を理解できる人に育てるために、東アフリカのある部族の考え方を参考にするといいかもしれない。この部族は、習慣的に、出産前から子どもと“きずな”を結んでいる。その村では、子どもの誕生日は、その子どもが実際に生まれた日ではなく、かといって、他の村の例のように受精の日でもない。なんと、母親がその子どものことをはじめて思い描いた日なのである。
女性は、ある決まった男性の子どもを身ごもろうと心に決めると、村を出て一人木のしたに座る。そこで耳をすませていると、やがて自分が身ごもる子どもの歌が聞こえてくる。歌を聞き終えると、女性は村へ戻り、その歌を未来の父親に教える。そして、二人は、愛を交わしながら、覚えた歌を歌い、子どもを呼び寄せる。
やがて身ごもると、母親はこの歌をお腹の子どもに歌って聞かせる。それから、同じ歌を村の老婆や産婆たちにも教える。それによって、子どもは陣痛のあいだも生まれる瞬間も、自分の歌を聞いていられる。その後は、村人全員が新しい仲間の歌を覚え、その子が病気やけがのときに、皆で歌ってあげる。この歌はさらに、勝利のときや儀式のとき、イニシエーションのときにも歌われる。やがて子どもの結婚式にも歌われ、人生の終わりには、皆が死の床を囲んで、最後にもう一度だけこの歌を歌う。
そんなわけで、子供を産んじゃった人も、これから産む人も、一度読んでみることをお薦めします。