ちょっと聞いてくださいませ。
たみえさん、めちゃくちゃ驚きましてん。
やー、お尻の穴がきゅーーーーってなるくらい驚きましてん。
ちーが死んだ翌日。
キジトラの猫が勝手口の通路を通りました。
へーと思いました。
するとその後を、白にキジトラの猫が通りました。
そして、私の方を見ました。
目が合いました。
じーっと私を見ました。
ちーと同じ顔をしていました。
顔つき、目の大きさ、目の色、そして口元の柄。
ちー!
あんた、死んだんじゃなかったの?!
と、驚いて思わず叫びました。
その声にびっくりして、庭の方に逃げた白キジトラのその猫は、全身キジトラに合流し、こちらを見ました。
あー。
ちーより大きいな。
キジトラ柄の割合が、ちーより少しだけ多いな。
キジトラ柄の色もちーより濃いめだな。
ちーじゃないや。
と、思って、ホッとしたようなガッカリしたような、妙ちきりんな気持になりました。
ブ子を近くに行かせても、ガン無視していたので、絶対にちーではないことは明らかでした。
やー、しかし、ほんとーにそっくりな顔をしていました。
昨日の夜も、またやってきて、またしても近距離で目が合ったのですが、頭で分かっていてもちーだと一瞬思ってしまいました。
これだけ似てるんですから、親か兄弟かもしれません。
ブ子は人間になでなでしまくられるようになってからは、庭にやってくる大人猫たちにすり寄ることは減りましたが、
ちーは相変わらずオスでもメスでもすり寄って、威嚇されて逃げられてションボリ…って感じのことを繰り返していました。
もしかしたら、道路に飛び出したのも、この大人猫たちを追いかけてのことだったのかもしれないねー、とお父ちゃんが言いました。
そうだとしたら、それもまた切ない話やなぁ~……と、ブ子をなでながら思いました。