恥ずかしい。

旦那さんがお百姓仕事をしている畑から、T山という山が見えます。
小さい山なんですが、ある神社のご神体となっている山です。
この山が、どんどん削られています。
「畑仕事しててさ、あの山が目に入ると、辛いんだよなぁ…。」と、旦那さんは言います。
ご神体の山なのに、どういう経緯があるのかは分かりませんがガンガン採掘されているのです。
ところで。
私は、アキオを産んでからカルシウムとマグネシウムが摂取できる錠剤をちょこちょこ飲んでいます。
母乳をいっぱい出してたことからカルシウム摂取は必須だったのですが、偏頭痛持ちにはマグネシウムが不足していると聞いたので、カルシウムとマグネシウムが一緒に摂取できる錠剤を飲むようになったのです。
2~3社のを飲んでみましたが、ある会社の商品の主原料は『ドロマイト』でした。
なんと鉱物なんですねぇ。
さて。
それから、最近になって、親戚のおばさんに薦められて、とある健康食品(液体)を息子と一緒にチビチビ飲んでます。
これもカルシウムやマグネシウムと同様、身体に必要な微量元素(ミネラル)が何種類も入っているというものです。
なんでも、アメリカのある場所の土壌を掘って、それから成分抽出をしているそうなんです。
その土壌とは、昔々の植物層だそうです。
人間には多種のミネラル成分が必要ですが、それらは石をかじっても貝をかじっても、ほとんど摂取できません。
ミネラル成分を取り込んだ植物を食べることで、人間は効率的にミネラル成分を取り込むことができるんだそうです。
そんなわけで、その健康食品は確かにミネラル成分摂取には非常に効率的だと思いました。
(なので、ドロマイト由来の錠剤では吸収効率は高くないかもね。)
今、日本の畑の土にはミネラル成分が少なくなっているんだそうです。
肥料の成分が偏っているからです。
旦那さんの自然農ならば昔のお野菜と同じくらいのミネラル含有量になると思いますが、それももう少し先のことになるだろうな、と思います。
それに、やはり甘い物や添加物たっぷりな食べ物は、体内のミネラル成分を消費しやすいんだそうです。
お野菜の中にミネラル成分が少なくなっているのに、身体はミネラル成分を消費しやすくなっているんですから、どんどん不足していくのは当然ですね。
ミネラル成分が足りなくなると、身体にいろんな不具合が生じます。
酵素の働きが悪くなるからです。代謝異常ってことですね。
私が料理好きで、旦那さんの野菜だけでどんどん美味しい料理を作ってあげられたらいいのですが、なかなかそうは行きません。
甘い物も、息子には与えていないのですが自分は止められません。…これでもかなり減ったんだけど。
まぁ、それでも私の中では徐々にではありますが(旦那さんのおかげで)理想の食生活に近づいていっているとは思ってますが、我が家のミネラル成分摂取量もまだまだ理想的では無いな、と思っています。
そんな情けないお母ちゃんなので、親戚のおばさんに薦められた商品は、理想の食生活になるまでの『つなぎ』になるな、と思って、チビチビと飲んでいるのです。
話はT山に戻ります。
つい最近になって、T山でドロマイトが採れると知りました。
何のための採掘かは分かりませんが、もしかしたら私が飲んでいた某社のサプリメントの材料に使われているかもしれないね、と旦那さんは少し寂しそうに言いました。
それから少し経って、旦那さんはこうも言いました。
「お母ちゃんが(健康食品を)飲んでるのも、アキオに飲ませてるのも、イヤだ。」
生産効率を重視した農業や手軽さや便利さを形にした食品を生み出したのは、我々消費者です。
そして、健康食品やサプリメントで足りない成分を補おうとするのも、我々消費者です。
『ご神体の山が削られる』という寂しい現実を毎日見ている旦那さんには、「身体に良いから。」と健康食品をチビチビ飲んでいる私の姿が非常に傲慢に映ったのでしょう。
アメリカで採取しているその場所だって、もしかしたらネイティブ・アメリカンにとって大切な場所だったかもしれないんです。
そういう想像すら、旦那さんの嫌悪を見せられるまで浮かんではきませんでした。
いかに私は傲慢を身の内に抱えて生きているか、という証拠です。
(加えて、私は旦那さんに嫌悪をバーンと投げつけられて、まずは腹を立てたし。おもっいっきり傲慢。)
旦那さんは、お百姓仕事をしています。
私は、ほとんどお手伝いしません。
子育てと家事をしているから……というのは確かにそうなのですが、ハッキリ言えば『自然の中』に入るのが苦手なのです。
太陽の光で頭痛を引き起こされやすし、蚊には刺されやすいし、なにより虫が苦手だし。
一緒に生活していても、旦那さんのリアリティと私のリアリティはどんどん離れて行ってたんだなぁ、と気がつきました。
以前は同じ会社で働いていたので、2人でリアリティをたくさん共有していたと思います。
都会に住んで、コンピューターの仕事をしていたから、どんどん私達のリアリティは『頭』偏重になっていたんだと思います。
それが自然農を通じ、旦那さんは次第に『身体』で感じる『自然』のおかげで、リアリティのバランスが変わって行ったのでしょう。
それは、傲慢が少しずつ消えていく方向へのシフトです。
傲慢とは、自然を自分の都合でどうにでも変えてしまおう、という想いが核になっているんでしょう。
その想いを核にして、私達は雪だるまのように傲慢を大きく育てて生きているのです。
神様は『自然の法則』そのものです。自然そのものです。
「神様、神様。」と言ってるくせに、私はなんて傲慢なんだろう、と恥ずかしくなりました。
ほんと、恥ずかしい…。
でも、それは今の自分の姿なんだ、ということをシッカリ認識したいと思います。
自分を責めても意味ないし。
自分が変わっていくべき方向がボンヤリ分かったんだから、ありがたいことだし。
せっかく買った健康食品は、自然に感謝しつつ飲んじゃおうと思います。
ああ、ほんとに毎日が修行ですな。人生って。

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